aini schoolでの授業
今月から、オンライン・オルタナティブスクール「aini ahool」で、不登校児童向けにオンライン授業をさせていただくことになりました!
初回の授業を終えたので、授業内容の紹介と、終えてみての感想を共有できたらと思います。
※aini schoolの詳細は↓コチラをご覧ください。
小中学生を対象にした、オンラインフリースクールを開講されているそうです。
芥川龍之介『鼻』の読解
さて、僕が担当させていただいたのは、4/19(金)13:00-13:45の1コマ。
「【aini school授業予約】文学よみきかせ ~芥川龍之介『鼻』~」というタイトルで、芥川龍之介の『鼻』という小説の解説をさせていただきました。
小説の内容を、小学生向けに話したくらい簡略にお伝えすると下記の通りです。
=======あらすじ=======
あるところに、アゴにかかるくらい長い鼻を気にしているお坊さんがいました。
お寺に拝みにくる人に「自分より鼻が長い人はいないか」と探してしまうくらい、お坊さんは鼻の長さをとても気にしていました。
あるとき、弟子が中国の医者から「鼻を短くする方法」を聞いてきたとお坊さんにつたえます。お坊さんは悩みましたが、その方法を試してみることにしました。
鼻を茹で、足の裏で鼻を踏まれ、鼻から出てきた泡を取る作業くりかえすという独特な方法でしたが、なんとみるみるうちに鼻が短くなったのです!
たいそう嬉しがったお坊さんでしたが、鼻が長かったときよりも、鼻が短くなった今のほうが周りの人からクスクスと笑われていることに気がつきます。
急に見た目が変わったら笑われるものかと思い込んでいたお坊さんでしたが、時間が経てば経つほどひどくなる嘲笑によって、何か別の要因があるのではないかと考えるようになります。
ある夜、お坊さんは鼻が大変かゆくなりました。起きて、自分の鼻を触ると、元どおり長い鼻に戻っていたのです。
お坊さんは、もう誰からも笑われなくなると、安心してもう1度眠ったのでした。
というあらすじです。
当日は小学3・4年生の子たち、6人がオンラインで参加してくれていました。
授業では、
Q:みんなだったら、鼻を短くする方法をやってみる?やらない?
Q:鼻を短くする方法って、いったいどんな方法だったと思う?
Q:ある日、鼻がかゆくなった。その後、どうなった?
という問いを投げかけることで、展開を予想することで盛り上がる展開にし、
最後には、
Q:このおはなしはどんなことを伝えているのかな?
と問いかける形を取りました。
そして、『鼻』という小説は、
自分が思っているほど周りの人は、自分の短所を気にしていないんじゃないか
という自分なりの読み方を伝えてみました。
※不幸から抜け出したとき、周りの他者はもう1度不幸を願ってしまうのが人間の本質だ。という読みもあるようですが、暗い展開になるので、あえて優しい読解にしてみました。
自分が気にしていることを、周りはそんなに気にしていない。
僕自身、運動神経の悪さをとても気にしています。
↓コチラのブログにも書かせていただいてのですが、高校時代のサッカー部のときは、高いボールとの距離感が掴めず、思い切り手でボールを触ってしまいレッドカードで退場になってしまったことがあるくらい本当に運動神経が悪かったのです。
極力、自分が運動している姿を人に見られないように、運動会や体育祭では運動神経が関係ない障害物競走に参加していました。当日は、参加したくなくて、何度サボってやろうと考えたことか分かりません。
最近、学生時代の友人に会うことが多くなりました。
時間も経ったので「実は学生時代、運動がとてもイヤで…」と話し出してみても、たいていの友だちが「そんなことあったけ?」と覚えていないか、「その話、おもしろいじゃん」と笑い飛ばしてくれます。
自分が気にしていることを、
周りはそんなに気にしていない。
25歳になってようやく、『鼻』に出てきたお坊さんと同じような発見をすることができました。
最後に、僕は小学生にこんな短い話をして終わりにしました。
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みんなにも自分が気にしていることがあるかもしれないじゃない?
でもさ、それは他の人はそんなに気にしていないことかもしれないし、時間が経てば笑いに変わるような話になるかもしれないなって、僕は思うんだ。
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彼らが与えてくれたもの
オンライン授業では、アバターこそ目の前にいてくれるものの、表情が見えるわけではありません。チャットに自分の考えを書いてくれた子もちらほらいたけど、全員ではありません。
だから、自分の考えがどれほど届いていたかは分からないけれど、授業の終わりには、みんながメタバースの世界でクラッカーを打ちに来てくれました。
※想像が難しいかもしれないですが、仮想世界では、各々のアバターがお祝いのクラッカーを打ったり、踊ったりすることができるのです。音もついているのですが、まあまあうるさいです(笑)
メタバースではありますが、初回の授業で緊張していた最中でもらったクラッカーの発射の数々は、僕の心を癒してくれました。
彼らからは、優しいひとときを与えてもらいました。
僕からは、参加してくれた6人の心に「自分のコンプレックスってそんなに気にしなくてもいいのかもな」という感慨が少しでも与えられていたら、嬉しい限りです。
今までに考えもしなかったことを考えるきっかけ、その心地よい揺らぎを与えられる人で在りたいなと常々思っています。
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