夏休みは,小中学生向けの特別ワークショップを実施しました。
7月~8月の水曜日に,全4回の開催でした。
どなたでも参加可能というスタンスで開きましたが,
チラシは,不登校や学校生活に悩む子どもに届くように作りました。
今回のブログでは,この活動を終えて感じたことを正直に書いていけたらと思います。
インクアートを選んだ理由
そもそも,僕は美術ではなく「教育」や「哲学」が専門です。
そんな僕がなぜインクアートの事業を行っているかと言うと,「言葉にならない思いを支えたい」という思いがあったからです。
大学院ではカウンセリングの理論について学んでいたのですが,カウンセリングの問題点の1つに「そもそも言葉にすることが難しい」点が挙げられます。
特に,僕が学んでいたナラティヴ・セラピーという方法は,「言葉に重きを置く手法」でした。
一方,目の前の子どもを見ていると,大半が「言葉にすることが苦手」だと感じさせられます。
僕は,塾の先生もやっていますからよく分かるつもりです。
自己表現型の受験を考えている小中学生,高校生ですら,自分の考えを上手に表現することは苦手だという子どもは多い印象です。
そんな「言葉の問題」を解決する手法として,抽象画であるインクアートを選びました。
7月上旬,自分の思いをふんだんに込めたチラシを,川崎駅近辺の小中学校のスクールカウンセラーさん宛に送らせていただきました。
活動を終えて思うことは大きく2つあります。
初年度だからできた無茶だったかもな
正直,来年同じことが出来るかと聞かれたら,「分からない」と返すことになりそうです。
主な理由は,金銭的なものになります。
九州でコワーキングスペースの運営をしながら不登校支援も実施されている方も,
・そもそも来てほしい子まで情報を届けることが難しい
・経営を優先しないと成り立たないので,結局はビジネスを優先してしまう
という内容を話してくださっていて,まさに自分も追体験した感じです。
チラシ作りに関しても,僕の考えに共感してくれる方が良心的な価格で協力してくれたし,
手紙の送付に関しても,塾で関わっている保護者の方が協力してくださいました。
自分の考えに賛同し,助けてくれる人の存在が無かったら,この活動は出来なかったと思います。大きな感謝を伝えたいと心の底から思うと同時に,何年も何年も伝統行事のように続けていけるイベントでは無いとも思わされています。持続可能な体系ではなかったようです。
でも,確実に必要な人はいる
他方で,この取り組みが必要な人は,確実にいると思わされました。
毎週必ず,チラシを見て来てくださった方々がいたんです。
体験後,その親御さんたちは「正解や枠に囚われなくて良い」「評価を気にしなくて良い」といったスタンスで描くことがとても良かったですとメールで連絡をしてくださいました。
非常に抽象的な話になりますが,「何か評価されている感覚が常につきまとう」「他者と比較して常に自分はダメだと思ってしまう」「<ふつう>のことが普通に出来ずに困っている」といった感覚を強く抱いてしまっているがために,困っている人がいます。
最近では,「自己肯定感が低い」という言葉で表現されることもあります。
比較-評価される感覚を抱いていることは,他人から理解されにくいのですが,活動する気力が一気に削がれる場合があります。
何をやっても上手くいかないと,嫌気がさしてくる感じは想像できますよね?
↑上記のような感覚は,僕自身も言語化に苦労しているように,子どもたちはもっと苦労しているのです。
そして,子どもと対話したいと願っているにも関わらず,比較-評価に悩む感覚を大人も理解できず,結果的に親も子も困ってしまうという構図があるように思います。
自分で書いていても,説明が難しいこの感覚ですが,のびのびと抽象画を描くという行為を通して,自分を「受容」する感覚を磨いてほしいのです。
何に悩んでいるかもよく分からない。
どうやって言葉にして良いか分からない。
でも,そんな自分を卑下することなく「受け容れる」ところから,進んでいくための1歩目は生まれると思うのです。
来てくださった方々には,インクアートを使った今回の取り組みの良さが,体感的に伝わったのではないかと信じています。
次はどうすれば良いかと悩む
さて,個人的には確実に意味があると思うし,来てくださった方にも,その意義は伝わっていると信じているんです。
いるんですが,この説明が難しい取り組みを,今後どのように展開していけば良いのか,悩む日々は続きそうです。
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